ニュースやネット記事、ツイッターなどを見ていると、しばしば外国人投資家が買い越している、売り越しているというのを見かけます。
国内株式のメインプレーヤーは外国人投資家であり、株価は外国人投資家の影響を受けやすいという話は聞いたことあったのですが、実際どのデータから、どれくらいの量を以てその話をしているのかはよく知りませんでした。
今回は、その基となるデータの取得方法と見方、Pythonを使ってデータを可視化した結果を書きたいと思います。
外国人投資家の売買動向を知る
先日発売された「2020年版 株の稼ぎ技 短期売買 228 (稼ぐ投資)」のいの一番に書かれているのですが、国内の株式市場は外国人投資家がメインプレーヤーであり、なんと東証1部の6〜7割くらいの売買金額を占めます。
したがって、外国人が現在売りポジションをとっているならば、買いポジションを控えるといった判断をした方が良いということになります。
この本は、様々な投資家のテクニック、経験、情報収集方法が記載されているので、すごくおすすめです。その情報がデイトレード向きの投資かスイング向きの投資なのかといったことや、信頼性の高さなども書かれており、非常に参考になります。
株式売買状況データ取得方法
外国人投資家の動向が重要であることはわかったところで、その情報がどこにあるかについてですが、JPX(日本取引所グループ)の投資部門別売買状況ページ(下記リンク参照)にあります。
この情報は毎週木曜日に発表されて更新されます。
リンクを開くとエクセルとpdfでダウンロードできるページが現れると思いますので、ここからデータを毎週落としていきましょう。
金額と書かれている方が売買代金、株数と書かれている方が出来高ということになります。
バックナンバーで過去のデータも10年前まで遡ることができますので、過去データを利用したい場合はそちらから落としましょう。
株式売買状況データの解説
さて、データを落として中身を開いてみると以下のようなデータが得られていると思います。
示しているデータは2019年10月4週目(10/21〜10/25)のデータです。
正直、馴染みの無い人間からすると何これ?という感じで一瞬ひるんでしまうところです。
簡単に登場する言葉の意味とデータ中身について説明を書いておきます。

① 東証第一部総売買代金(Total trading value)
10/21〜10/25の合計売買代金(千円)のようです。ただ、18兆円となっているので、1日平均3.6兆円も売買代金があることになります。東証の1日の売買代金って、だいたい2〜3兆円くらいだったと思うので、えらい多いなという印象です。委託計だけでみても約15兆円ありますし、謎です。だれかご存知の方いたら教えてほしいです。
② 自己取引(Proprietary)
「証券会社や銀行などが、自分の勘定を使って株式や債券、為替などに投資すること」のようです。
【参考】https://www.weblio.jp/content/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%A3%B2%E8%B2%B7
③ 委託取引(Brokerage)
「商品の販売や買付を、一定の手数料を払って第三者の代行機関に委託すること」。我々のような個人投資家が証券会社を経由して取引するのはこちらになるようです。
【参考】https://www.weblio.jp/content/%E5%A7%94%E8%A8%97%E5%A3%B2%E8%B2%B7
④ 差引き(Balance)
(買い金額)ー(売り金額)のことのようです。このデータの自己計のところでは、2045億円ほど買い越していることということになります。
⑤ 委託内訳(Brokerage Trading)
委託取引の内訳が記載されており、法人、個人、海外投資家、証券会社に分かれております。
委託取引の内訳を示しているので、セルI26、I29、I32、I35を合計するとI18になります。
この内訳の中の、海外投資家の部分のデータが今回着目しているデータになります。Totalの部分の比率を見てみると73.2%となっているとおり、委託取引のうちの7割強が海外投資家の取引ということになります。
証券会社の自己取引の部分を含めても60%強の取引を海外投資家が占めていることがわかります。

⑥ 法人内訳(Institutions)
委託取引の法人の部分に関して、さらに細かく内訳が示されており、投資信託、事業法人、その他法人等、金融機関からなっています。委託取引の中の法人の内訳なので、セルI40、I43、I46、I49を合計するとI26になります。
⑦ 金融機関内訳(Finantial Institutions)
法人内訳の中の金融機関の部分に関して、さらに細かく内訳が示されています。⑤⑥同様に、I54、I57、I60、I63を合計するとI49になります。

⑧ 個人、自己の現金・信用取引数値(Individual & Proprietary)
個人と自己売買、それぞれの現金取引か信用取引の売買金額を示しております。
C68、C69、E68、E69を合計するとI29になります。またC70、C71、E70、E71を合計するとI15になります。
⑨ 海外投資家売買における法人、個人の数値(Foreign)
海外投資家の法人と個人の売買金額が示されています。D75、D76、F75、76を合計するとI32になります。
すでに海外投資家の取引が重要であることはエクセルから確認できました。これを時系列データとして可視化することで、海外投資家の売買動向がよりわかってくると思います。
委託売買金額の推移可視化結果
まずは、委託売買の法人、個人、外国人投資家、証券会社の売買代金のtotal値がどのように推移しているか可視化した結果です。
緑色のbarが外国人投資家による取引なので、いかに外国人投資家の取引が多いのかがわかります。

ちなみに、こちらはPythonのPlotlyを使って可視化した結果です。可視化方法の詳細はこちらの投稿を御覧ください。
【Python】Plotlyで外国人投資家の売買動向の推移を可視化する
外国人投資家の売買動向の推移可視化結果
次に外国人投資家のデータのみに絞り、売りと買いを別々に可視化した結果です。
10月第1週目から青色のbarが赤色のbarより高くなり、balanceの値がプラスに振れており、確かに外国人投資家が買い越しているのがわかります。

10月に入ってから日経平均はかなり堅調に推移しているのは、この外国人投資家の買い越しの影響はあるでしょう。実際、以前の買い越しのピークは4月第1週目から4月第4週目においても、日経平均は上昇しています。
日経平均と必ず連動するわけでは有りませんが、書籍「2020年版 株の稼ぎ技 短期売買 228 (稼ぐ投資)」の通り、かなり信頼性の高いデータであることは間違いないなと思いました。
継続してチェックしていこうと思います。